こんにちは。朝、指輪がきつく感じる。いつもと違うとそれだけでなんだか不安になりますよね。むくみ（浮腫）は、体の中に水分が少し多めにたまっている状態です。まずは、日常で起こりやすい理由からお話しします。しょっぱい物や加工食品をとり過ぎたり、夜遅い食事が続いたりすると、体は水分をため込みやすくなります。長い時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎの筋肉がうまく働かず、足に水がたまりやすくなります。女性では月経前や更年期など、ライフステージやホルモンの変化の影響で一時的にむくみやすくなることもあります。

次に、病気が隠れていないかを考えます。心臓のはたらきが落ちると、血液が戻りにくくなり、両足のむくみや数日での急な体重増加、息切れ、横になると苦しい、胸の痛みといった症状が出ます。こうしたサインがあるときは早めの受診が必要です。腎臓の不調でも、余分な塩分や水分をうまく外に出せず、足やまぶたがむくみます。診察では、血液検査（腎機能や電解質）、尿検査（尿たんぱくや潜血）、心電図や心エコー、胸部レントゲンなどを、症状に合わせて判断していきます。治療として利尿薬などを使うかどうかも、検査と体調を見て決めます。また、片脚だけ長く続く、硬さを伴う、というように左右差が大きいむくみは、静脈やリンパの流れが弱っているサインのことがあるので注意しましょう。時には服用中の薬が関係している場合もあり、血圧の薬の一部や痛み止めでむくみが出る人もいます。自己判断で中止せず、処方医や薬局、かかりつけ医に相談してください。良いタイミングで専門医への相談につながることができるでしょう。

今日からできる工夫もたくさんあります。味つけは少し薄めを意識し、外食や加工食品、スープの飲み干しは控えめにしましょう。座りっぱなし、立ちっぱなしが続くときは、30〜60分に一度、立ち上がって足首を回したり、つま先とかかとを上げ下げして血流を助けます。帰宅後は足を心臓より少し高くして10〜15分休むだけでも楽になります。立ち仕事やデスクワークが多い方は、サイズの合った弾性ストッキング（着圧ソックス）が役立つことがありますので、選び方はお近くの医療機関に相談してください。水分は極端に減らさず、のどの渇きに合わせて体の調子に合わせてとるようにしてください。繰り返しになりますが、いま飲んでいる薬でむくみが出やすいものがないか、処方医と一緒に見直すことも大切です。朝晩の体重、指輪のきつさ、足の写真などスマホやノートに簡単に記録しておくと、受診時の判断材料になります。

最後に、早めに相談してほしいサインもお伝えします。息切れ、横になると苦しい、胸の痛み、強い動悸があるとき。片脚だけ急に腫れて痛い、赤い、熱っぽいとき（血栓の可能性）。発熱や傷の周りの赤みを伴うとき。むくみが二週間以上続く、悪化する、顔やお腹、手まで広がるとき。数日で体重がぐっと増えるとき。尿が少ない、泡立つ尿が続く、血圧が高すぎるとき。こうした場合は早めに相談、受診しましょう。

むくみは生活の工夫で良くなることが多い一方で、体のサインとして現れることもあります。気になるときは一人で抱え込まず、状況に合った安全な方法を相談しながら一緒に考え、あなたの体に合ったペースで無理なく整えていきましょう。

啓和会は医療と介護の融合で、皆様のお困りに寄り添う総合サービスを提供しております。当院の内科部門では訪問診療をはじめ、外来では日々のお困りごとから慢性疾患まで、地域の専門各科、総合病院と連携しながら対応します。ぜひご相談にいらしてください。

【参考】

・日本心臓財団：心不全リーフレット
・日本腎臓学会：腎臓の病気について 3.腎臓が悪くなった時の症状
・Mayo Clinic：Edema – Symptoms, causes / Diagnosis & treatment
・MedlinePlus（NIH）：Swelling、Foot, leg, and ankle swelling
・NHS：Swollen ankles, feet and legs（oedema）