夜になると足のむずむず感が強くて、寝付きが悪いです
- Q.
- 夜になると足のむずむず感が強くて、寝付きが悪いです(50代/男性)
- A.
それは本当につらいですね。夜に足が落ち着かないと寝不足につながります。そうすると日中の集中力や気分まで崩れてしまいますから困ったものです。気のせいと片付ける前に医療機関にご相談下さい。原因のある症状とわかれば、生活の工夫や治療で良くなることが期待できるかもしれません。
”足のむずむず感”と言えば、そのままで恐縮ですが、まず最初に疑うのは、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)です。特徴はとてもはっきりしていて、足を動かしたくてたまらない感じが出て、座っているときや横になったときに強くなります。そして、歩いたり足を動かしたりすると一時的に楽になります。さらに、昼より夜に強くなるのがポイントです。もしこの流れが当てはまるなら、むずむず脚症候群の可能性が高いです。
ただ、似た症状もあります。たとえば、こむら返りは「むずむず」より「急な強い痛み」が主役で、筋肉が急に収縮し痛みが出てかたくなります。糖尿病などの末梢神経障害は、ビリビリやしびれが目立ち、動いてもスッキリ楽になりにくいことが多いです。また、薬の影響で体がそわそわしてじっとしていられない状態になることもありますし、血管の病気や腰からくる痛みでは、動くと悪化して休むと楽になるなど、むずむず脚症候群と逆のパターンになることもあります。ここは診察で丁寧に見分けます。
むずむず脚症候群で大事なのは、治しどころがはっきりしていることです。とくに多いのが鉄不足です。貧血と言われていなくても、体や脳の中の鉄が足りないと症状が出やすくなることがあります。腎臓の病気、糖尿病、パーキンソン病、睡眠時無呼吸などが背景にあることもあります。さらに、カフェイン、アルコール、たばこ、寝不足、強いストレスは悪化させやすいです。花粉症の薬などの抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、吐き気止めなどが関係することもあるので、飲んでいる薬がある方はかかりつけ医療機関や薬局などで一度確認したいところです。
日常でできる対策もあります。まずは1〜2週間だけ「夜のむずむず対策」を試してみてください。寝る1〜2時間前にぬるめのお風呂で足を温めて、ふくらはぎや太ももを軽く伸ばします。症状が出てきたら、一度立って部屋の中を少し歩いたり、足首を回したりすると楽になることがあります。寝る直前のスマホは控えめにして、部屋を暗めにし、体に「今から寝る時間だよ」と覚えさせるのも効果的です。夕方以降はコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコレートなどのカフェインを減らしてみてください。お酒は一時的に眠くなっても睡眠が浅くなり、むずむずが悪化する人がいます。たばこも悪化要因になることがあります。さらに運動はやりすぎないのがコツです。日中の軽い散歩や自転車などの有酸素運動は良い影響が期待できますが、寝る直前の激しい運動は逆に悪化することがあります。
医療機関でのポイントは、鉄の検査です。最近の国際的なガイドラインでは、むずむず脚症候群が疑わしい場合、血清フェリチンやトランスフェリン飽和度などで鉄の状態を確認することが強く勧められています。鉄が不足していれば、鉄剤の内服や点滴で改善することがあります。薬が必要なときもありますが、ここ数年で考え方が変わってきました。以前よく使われたドパミン系の薬は、長く使うと症状が早い時間から出る、広がるといった「増悪」が起きやすいことが分かってきました。そのため最近は、まず鉄や悪化要因を見直し、それでもつらいときはガバペンチン系の薬を第一候補にする流れになっています。腎機能や日中の眠気、運転の有無などで薬の選び方は変わるので、自己判断で増減や中止はしないでください。
受診の目安もお伝えします。眠れない夜が週2回以上あり、日中の生活に支障が出ているなら、早めに相談してよい状態です。しびれや感覚の鈍さがある場合は、神経の病気の評価も必要です。貧血、腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸がある、または疑われる方も早めの受診をおすすめします。急ぎたいサインとしては、片脚だけが急に腫れて痛い、赤い、熱いといった症状です。血管の中の血の塊など、いわゆる血栓など別の緊急の病気を除外する必要があります。むずむずに加えて胸の痛みや強い息切れがあるときも、すぐに受診してください。
受診のときは、いつが一番つらいか、動かすとどのくらい楽になるか、どんな感じか(むずむず、虫がはう、ビリビリなど)症状についてまとめておくとよいでしょう。また、カフェインやお酒やたばこの量、飲んでいる薬、持病の有無を短くメモしていくと診察がとてもスムーズになるでしょう。
このように、夜になると足が落ち着かないのは、多くの人が経験する「本物の症状」かもしれません。我慢を続けるより、生活の工夫と医療の力を組み合わせて、眠れる夜を少しずつ取り戻し日中も元気にすごしていきましょう。
啓和会では介護と医療の融合で皆様の暮らしの困ったにお答えし、地域の専門家を含めた関係各所と連携して対応してまいります。お気軽にご相談ください。
【参考】
■日本語サイト
「Restless legs 症候群」の診療ガイドラインを公開しました(Mindsお知らせ)
https://minds.jcqhc.or.jp/news-15497/
レストレスレッグズ(むずむず脚)症候群(日本語総説PDF)
http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/H21-9.pdf
済生会:むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病)
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/restless_legs_syndrome/
■英語サイト
AASM:New guideline provides treatment recommendations for restless legs syndrome
https://aasm.org/new-guideline-provides-treatment-recommendations-for-restless-legs-syndrome/
IRLSSG診断基準レビュー
http://medi-guide.meditool.cn/ymtpdf/1FAEAA84-25A0-7F4C-0099-5995EACE4F5F.pdf
RLSと鉄の総説(PMC)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3630948/