しばらく集中していると目がかすむことが多く、目薬が手放せません
- Q.
- しばらく集中していると目がかすむことが多く、目薬が手放せません(50代/男性)
- A.
こんにちは。パソコンのお仕事が多くなると目の疲れや目がかすみでお困りですね。お子さんやお孫さんにゲームをやりすぎてはいけないよ!と言い聞かせている自分も目の健康には気を付けてゆきましょう。
「少し様子を見て大丈夫」なケースから「すぐに受診してほしい」サインまで幅がありますので、見え方の変化が片目だけなのか両目なのか、急に起こったのかゆっくりなのかなどを手掛かりにちょっと考えてみましょう。まず、片目だけがかすむとき。目そのもののトラブルや血流の問題が隠れていることがあります。瞬きをするとすっと楽になるなら、涙の分泌の低下などで潤いの膜が不安定になっている可能性があります。ドライアイや結膜炎、角膜の小さな傷などで起きやすく、乾燥や長時間の画面作業が助長します。夜の運転で光がにじむ、まぶしさが増えるといった症状があると初期の白内障が原因のこともあります。光が走る、黒い影が揺れる、視野の一部がカーテンのように欠ける、といった変化は網膜や視神経のトラブルの可能性もあります。数分だけ片目が真っ白・真っ暗になって戻る場合は、一時的に目へ行く血流が弱まったサインのことがあり、脳や頸動脈の検査が必要になることもあります。また、片頭痛の前ぶれ(閃輝暗点)では、ギザギザやキラキラが広がり、一時的に見えにくくなることがありますが、いつもと違う強さや長さなら一度は眼科で確認しましょう。緊急の目安として、強い目の痛みや吐き気を伴って急にかすむときは、至急受診です。急性緑内障等治療を急いだほうが良い病気の可能性もあります。黒い点や光が急に増えたり、視界の端から幕がかかる感じがしたら網膜剥離の可能性もあります。また、数分だけ片目が全体的に見えなくなる発作を繰り返すときは一過性脳虚血の可能性があり、脳神経領域の評価が必要となるため、これらの症状で迷ったら早めに医療機関に相談してください。
次に、両目がかすむとき。多くは生活習慣や環境、年齢によるピント合わせの力の低下が関わります。画面を長く見続けて瞬きが減ると、目の表面が乾いてかすみやすくなります。エアコンの風、乾燥、マスクをつけているその隙間からの空気の流れも影響します。そして年齢とともに近くへピントを合わせる力が落ちるため、細かい文字が急に読みにくくなることがあります。他にも白内障が進むと、夜の運転で対向車のライトがにじむ、全体的にかすむといった変化が目立ちます。さらに、しばらくメガネを見直していない場合は、度数が合っていないだけでも見えづらくなることもあります。
日々のケアでできる対策もたくさんあります。画面作業は20分ごとに20秒、6メートル(20フィート)先を眺めて目を休める「20-20-20ルール」を習慣にしましょう。目薬でうるおいを補い、画面は目線よりやや下、40〜70センチ離して配置します。まぶたを温かいタオルでじんわり温めると、まぶたの縁にある油分の通りがよくなり、涙の質が整ってかすみが軽くなることがあります。これらで改善が乏しい、または悪化する場合は受診の合図です。
見え方の変化は生活の質に直結します。早めに原因を見極め、できる対策を積み重ねることで、安心して過ごせる時間が増えていきます。気になる変化があれば、一人で抱え込まず相談してください。あなたの目の状態や生活に合わせた安全な計画を、一緒に立てていきましょう。啓和会は介護と医療の融合で地域の皆さんの”こまった”に応え、地域の専門病院や総合病院と連携しながら、日々の暮らしを支えてまいります。
参考文献)
眼科Q&A|日本眼科学会
American Academy of Ophthalmology. “Cataract in the Adult Eye Preferred Practice Pattern” (2021).